「自販機からロケーション料をもらっているけど、確定申告は必要?」「自販機を自分で運営しているが、何が経費になるの?」
副業としての自販機ビジネスや、マンション・駐車場の土地に自販機を置いてロケーション料を受け取っているオーナーから、税務に関するご質問をよくいただきます。
この記事では税務の考え方の基礎を解説します。なお、実際の申告や節税対策については必ず税理士・税務署にご相談ください。
まず確認:あなたはどのタイプ?
自販機に関わる収入は、関わり方によって税務上の分類が異なります。
| タイプ | 収入の種類 | 税務上の区分 |
|---|---|---|
| ロケーションオーナー(場所を提供するだけ) | ロケーション料(手数料) | 不動産所得または雑所得 |
| 自販機オーナー(機械を所有・運営) | 売上全額(商品代-原価) | 事業所得または雑所得 |
| 管理組合として受け取る場合 | 管理費への補填収入 | 原則非課税(要確認) |
本記事では主にロケーションオーナーと自販機オーナーの2パターンを解説します。
ロケーションオーナーの場合:ロケーション料の税務
確定申告は必要か?
ロケーション料は基本的に雑所得または不動産所得として扱われます。
確定申告が必要になるケース(目安):
- 給与所得者(会社員) の場合:給与以外の所得(自販機収入など)が年間20万円超
- 専業主婦・無職など の場合:自販機収入を含む合計所得が年間58万円超(基礎控除以上。合計所得132万円以下の方は基礎控除が95万円に上乗せされるため、実際には95万円まで申告不要となるケースが多い)
- 個人事業主・フリーランス の場合:他の収入と合算して申告
令和7年度税制改正の注意点: 基礎控除は令和7年分(2025年分)以後、従来の48万円から58万円に引き上げられました。さらに合計所得金額に応じた上乗せがあり、合計所得132万円以下の方は95万円です(132万円超〜655万円以下の上乗せは令和7・8年分のみの時限措置)。あわせて給与所得控除の最低保障額も55万円から65万円に引き上げられています。古い「48万円」基準のままの情報にご注意ください。
月5,000円のロケーション料であれば年間6万円となり、会社員の方は所得税の確定申告は不要のケースがほとんどです。ただし複数箇所に設置している場合は合算で計算してください。
住民税の注意: 「20万円以下なら申告不要」は所得税のルールです。住民税にはこのルールがないため、20万円以下でもお住まいの市区町村への住民税の申告は原則必要です。
経費として計上できるもの
ロケーションオーナーが経費として計上できるものは限定的ですが、以下が代表例です。
| 経費の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 電気代 | 自販機用の電気代(按分計算が必要な場合あり) |
| 通信費 | 自販機管理に使うスマホ・ネット代(按分) |
| 交通費 | 業者との打ち合わせのための移動費 |
| 消耗品費 | 自販機周りの清掃用品など |
電気代の扱いについては契約時に業者と取り決めておくと処理がスムーズです。
自販機オーナー(自己運営)の場合の税務
自販機を自ら購入・運営している場合は、売上から費用を引いた利益(所得) に対して課税されます。
収入として計上するもの
- 自販機の売上金額(全額)
- キャッシュレス決済の精算金
経費として計上できるもの
| 経費 | 内容 |
|---|---|
| 仕入原価 | 商品の購入費用 |
| 減価償却費 | 自販機本体(耐用年数5年で償却) |
| 電気代 | 自販機専用部分 |
| メンテナンス費 | 修理・清掃費用 |
| リース料 | リース契約の場合 |
| 損害保険料 | 自販機にかけた保険 |
| 交通費 | 商品補充のための移動費 |
自販機本体の減価償却
自販機を購入した場合、本体代金は一括で経費にはできません。耐用年数5年で減価償却を行います。
例:100万円の自販機を購入した場合(定額法)
| 年度 | 減価償却費 | 帳簿残高 |
|---|---|---|
| 1年目 | 200,000円 | 800,000円 |
| 2年目 | 200,000円 | 600,000円 |
| 3年目 | 200,000円 | 400,000円 |
| 4年目 | 200,000円 | 200,000円 |
| 5年目 | 200,000円 | 1円(備忘価額) |
ただし、取得価額30万円未満(令和8年4月1日以後に取得する資産は40万円未満に拡大)の中古自販機などは、青色申告を行う中小事業者向けの「少額減価償却資産の特例」により、年間合計300万円を上限として取得年に一括で経費計上できる場合があります。この特例は令和8年度税制改正で令和11年3月31日まで延長されています。中古の小型機や周辺機器の導入では活用しやすい制度です。
管理組合・法人が自販機収入を得る場合
管理組合(マンション)の場合
マンション管理組合は「人格のない社団等」として、収益事業を行わない限り法人税はかかりません。ただし注意が必要なのは、自販機の設置場所を業者に貸してロケーション料(手数料)を受け取る行為は、税務上「不動産貸付業」という収益事業に該当し、課税対象になるのが原則という点です。国税庁も、管理組合が敷地の一部を外部事業者に貸し付けて収入を得るケース(携帯電話基地局の設置など)を収益事業と判定する質疑応答事例を公表しており、自販機の設置収入も同様に扱われるのが実務の一般的な見解です。
利用者が居住者に限られていても、収入が「外部の自販機業者から設置の対価として支払われるもの」である以上、収益事業の判定には影響しません。一方、電気代などの実費相当額の精算を受け取っているだけ(利益が出ない実費弁償)であれば、収益事業には該当しないと考えられます。
収益事業に該当する場合、管理組合は税務署への収益事業開始届出や法人税の申告が必要になります。「うちは非課税のはず」と放置すると、税務調査で過年度分をまとめて指摘されるリスクがあるため、既に自販機収入がある管理組合は税理士への確認を強くおすすめします。
法人(会社)の場合
法人が自販機収入を得る場合は法人税の対象となります。売上計上・経費計上ともに法人の会計処理ルールに従います。
まとめ:自販機収入の税務ポイント
- ロケーション料が年間20万円以下(会社員) なら所得税の確定申告は通常不要(住民税の申告は別途必要)
- 専業主婦・無職などの方の申告基準となる基礎控除は令和7年分から58万円(合計所得132万円以下は95万円)
- 電気代・清掃費などは経費計上可能(按分が必要な場合あり)
- 自販機本体を購入した場合は5年で減価償却(30万円未満、令和8年4月以後取得は40万円未満なら青色申告の特例で一括計上も)
- 管理組合の自販機設置収入は「不動産貸付業」として課税対象になるのが原則。未申告のまま放置せず税理士へ確認を
自販機ビジネスを副業として始めることを検討している方は自販機副業のはじめ方もあわせてご覧ください。
参考情報(一次情報)
- 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
- 国税庁 タックスアンサー「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
- 国税庁 質疑応答事例「マンション管理組合が携帯電話基地局の設置場所を貸し付けた場合の収益事業判定」「マンション管理組合の課税関係」
※本記事は一般的な税務知識の情報提供を目的としており(2026年7月時点の制度に基づく)、個別の税務判断を保証するものではありません。税制は毎年改正されるため、申告に際しては必ず所轄税務署または税理士にご相談ください。




